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「HEIF」への対応については、今回の Z 9 Ver.5.30でも見送り!
ニコンのフラッグシップミラーレスカメラ「Z 9」の最新ファームウェア Ver.5.30 がリリースされ、多くの機能強化と改善がもたらされました。特にオートフォーカス(AF)関連の進化や、新たなモノクローム表現の追加など、静止画・動画の両面でクリエイターの表現の幅を広げるアップデートとなっています。
一方で、弟分である「Z 8」で導入された高画質・高圧縮の次世代静止画フォーマットである「HEIF」への対応については、今回の Z 9 Ver.5.30でも見送られています。Z 8では、HLG(Hybrid Log-Gamma)階調モードと組み合わせることで、従来の JPEG を超える豊かな階調表現を可能にする HEIF 形式(拡張子 .HIF)での撮影が可能です。Z 9ユーザーにとっては、将来的な HEIF 対応が引き続き待望されるポイントと言えるでしょう。
ニコンHP Nikon | Download center | Z 9

🚨 Z 8にあり Z 9にない機能:HEIF対応の見送りは「非常に残念」
今回のアップデートでも、弟分である「Z 8」で導入された高画質・高圧縮の次世代静止画フォーマットである「HEIF」への対応は見送られました。
この点について、編集部としては「非常に残念」という言葉に尽きます。HDR静止画撮影を可能にする10bitの豊かな階調を持つHEIF形式は、Z 9のプロフェッショナルな能力をさらに引き出すはずでした。特に白飛び・黒つぶれを抑えるHLG階調と組み合わせた HEIF の表現力は、フラッグシップ機である Z 9 こそが真っ先に搭載すべき機能であり、今後のアップデートで早急な対応を強く望みます。
Ver.5.30の注目ポイント
🌟 新表現:[フラットモノクローム]と[ディープトーンモノクローム]
ピクチャーコントロールに [フラットモノクローム] と [ディープトーンモノクローム] が追加されました。
- [フラットモノクローム]: 柔らかく中間調を重視したトーンで、特にポートレートにおいて肌の凹凸を穏やかに描写し、美肌効果を期待できる表現です。
- [ディープトーンモノクローム]: 深みのあるシャドーと引き締まったハイライトが特徴で、重厚感のあるモノクローム作品制作に役立ちます。
これらは新たにフレキシブルカラー機能にも対応しており、微細な色調やトーンの調整が可能となり、モノクローム表現の幅が格段に広がりました。
🚀 AF性能の大幅な強化。シングルポイント AFでも被写体検出が可能に
| カテゴリ | 主なアップデート内容 |
| AF性能 | * [シングルポイント AF]、[ダイナミック AF] (S/M/L)という狭いエリア設定でも被写体検出が可能に。 これにより、より厳密な構図を維持しながら、 カメラのAIアシストを利用できます。 |
| * [ワイドエリア AF (C1/C2)] で設定できる AF エリアの範囲が拡張され、自由度が増しました。 | |
| 安定性 | * 静止画撮影時のオートフォーカス動作や安定性が改善。 これにより、動きの激しいシーンでの被写体捕捉が より確実になりました。 |
🔧 操作関連のカスタム性向上
- カスタムボタンに [フォーカスリミッター] や [被写体検出設定の循環選択] などの新たな機能を割り当て可能になり、ユーザーの撮影スタイルに合わせたカスタマイズ性が大きく向上しました。
- 拡大表示に [400%] が追加。超高画素機である Z 9での厳密なピントチェックをアシストします。
💻 ネットワーク関連の機能拡張
- USB 接続に [USB ストリーミング (UVC / UAC)] を追加。外部キャプチャーデバイス不要で、PCを介した高画質なライブ配信やウェブ会議への利用が可能になりました。
- FTP 接続や NTP サーバーによる日時同期など、プロフェッショナルな現場の要望に応える機能が追加されています。
🎨 [フラットモノクローム]を活用した新しいポートレート表現
1. [フラットモノクローム]とは?
ニコンのピクチャーコントロールにおいて、従来のモノクローム(スタンダードな白黒)や[ディープトーンモノクローム]と比較して、[フラットモノクローム] の最大の特長は、トーンカーブのコントラストが意図的に低く設定されている点です。
| 特性 | フラットモノクローム | 従来のモノクローム | ディープトーンモノクローム |
| コントラスト | 低め(中間調重視) | 標準 | 高め |
| シャドー/ハイライト | 潰れにくい/飛びにくい | 標準的なメリハリ | 深いシャドー/硬質なハイライト |
| 質感表現 | 柔らかい、ディテールを保持 | 標準的な表現 | 力強い、ドラマチック |
2. ポートレートにおける活用例:柔らかな「美肌効果」とディテール保持
[フラットモノクローム]の「低コントラストで中間調を重視する」特性は、ポートレートにおいて以下の新しい表現を可能にします。
① 自然な「美肌効果」の獲得 (ソフトライティングとの組み合わせ)
フラットなトーンは、顔のしわ、毛穴、肌荒れなどの微細な凹凸による影のコントラストを弱めます。
- 活用テクニック: 意図的に柔らかい光(ソフトライティング)、例えば曇りの日の自然光や大型のソフトボックスからの光を選びます。
- 効果: シャドー部とハイライト部の差が緩やかになるため、ニコン Z 9 の独立した「美肌効果」機能(Ver.5.00で搭載)を使わずとも、トーンカーブの特性によって肌を均一に、より優しく滑らかに見せることができます。
② 質感やディテールを最大限に保持したモノクローム
コントラストが低いということは、シャドー部(暗い部分)が黒く潰れすぎず、ハイライト部(明るい部分)が白く飛びすぎないことを意味します。
- 活用テクニック: 被写体の髪の毛、衣装の素材(ニットやレースなど)、背景の壁のテクスチャなど、モノクロームで強調したいディテールがある場合に最適です。
- 効果: 伝統的なモノクロームのようにドラマチックになりすぎず、写真全体にわたって情報量が多く、柔らかな階調表現が可能になります。これは、後処理でのレタッチの自由度を高めることにも繋がります。
③ ノスタルジックでシネマティックな表現
フラットなトーンは、特にフィルム時代の白黒写真や、現代のシネマティックな映像に見られる、トーンを抑えた表現と親和性が高いです。
- 活用テクニック: ポートレートに物語性や静けさを加えたい場合に、このモードを選択します。
- 効果: 主張しすぎないトーンが被写体の内面的な表情やムードを際立たせ、見る者に思索的な印象を与えます。
3. フレキシブルカラー機能との連携
[フラットモノクローム]は フレキシブルカラー機能にも対応しました。これは、フラットな状態(ベース)から、撮影者自身がトーンの微調整を可能にする機能です。
- 活用テクニック:
- まず [フラットモノクローム]で撮影し、肌やディテールの柔らかなベーストーンを得ます。
- その後、iメニューや再生時の [RAW現像] で、わずかにコントラストを上げたり、特定のトーン(ハイライトやシャドー)に色調を加える(セピア調、ブルー調など)ことで、「フラット」の良さを活かしつつ、好みのコントラストやムードに仕上げることができます。
この連携により、[フラットモノクローム]は単なるピクチャーコントロールの一つとしてだけでなく、高度なモノクローム編集の「出発点(ベース)」としても非常に有用になります。
この新しい表現方法を取り入れることで、Z 9ユーザーはポートレートにおいて、より洗練された、コントロールされたモノクローム表現を追求できるようになるでしょう。
Nikonファームウェア C:Ver.5.20 から C:Ver.5.30 への変更内容
- 「静止画撮影関連」、「動画撮影関連」、「再生関連」、「操作関連」、「ネットワーク関連」に記載されている内容の詳細につきましては、「 ファームアップ補足説明書 」をご覧ください。
- ※ 新規メニュー項目の追加に伴い、一部のカスタムメニューの番号が変更になっております。
- ■ 静止画撮影関連
- • [AF エリアモード]の設定が[シングルポイント AF]、[ダイナミック AF(S)]、[ダイナミック AF(M)]、[ダイナミック AF(L)]の場合でも、被写体検出を行えるようになりました。
- • AF エリアモードの[ワイドエリア AF(C1)]および[ワイドエリア AF(C2)]で設定できる AF エリアの範囲を拡張しました。
- • ピクチャーコントロールに[フラットモノクローム]と[ディープトーンモノクローム]を追加しました。また、フレキシブルカラー機能に対応しました。
- • [オートキャプチャー]に[撮影後のフォーカス位置リセット]を追加しました。また、被写体検出対象に[顔]を追加しました。
- ■ 動画画撮影関連
- • [AF エリアモード]の設定が[シングルポイント AF]の場合でも、被写体検出を行えるようになりました。
- • AF エリアモードの[ワイドエリア AF(C1)]および[ワイドエリア AF(C2)]で設定できる AF エリアの範囲を拡張しました。
- • ピクチャーコントロールに[フラットモノクローム]と[ディープトーンモノクローム]を追加しました。またフレキシブルカラー機能に対応しました。
- • [オートキャプチャー]に[撮影後のフォーカス位置リセット]を追加しました。また被写体検出対象に[顔]を追加しました。
- • [動画撮影メニュー]> [ハイレゾズーム]を[ON]に設定している場合、カメラが被写体を検出すると撮影画面に被写体検出枠が表示されるようになりました。
- ■ 再生関連
- • 再生メニューと再生時のi メニューの[フィルター再生の条件設定]に[日付]を追加しました。
- • 動画再生時のiメニュー項目に[ループ再生]を追加しました。
- • 再生メニューに[再生中の画面自動回転]を追加しました。
- ■ 操作関連
- • [カスタムメニュー]> a10とg6に[被写体検出の有効設定]を追加しました。
- • [カスタムメニュー]> a14[MF 時の絞り開放Lv]が a15[絞り開放Lv]に変更になりました。
- • [カスタムメニュー]> a17[フォーカスリミッター設定]を追加しました。
- • [カスタムメニュー]> f2[カスタムボタンの機能(撮影)]および g2[カスタムボタンの機能]に割り当てられる機能として、[フォーカスリミッター]と[被写体検出設定の循環選択]を追加し、[撮影機能の呼び出し]と[撮影機能の呼び出し(ホールド)]それぞれに個別の設定を登録できるようになりました。また[拡大画面との切り換え]に[400%]を追加しました。
- • [カスタムメニュー]> f3[カスタムボタンの機能(再生)]に割り当てられる機能として[編集前の画像へジャンプ]を追加しました。
- • [カスタムメニュー]> f11[内蔵 TC での撮像範囲切換]を追加しました。
- ■ ネットワーク関連
- • [ネットワークメニュー]>[FTP サーバーと接続]で設定済みの接続設定に、説明文を追加できるようになりました。
- • [ネットワークメニュー]>[FTP サーバーと接続]>[オプション]に[NTP サーバーによる日時同期]を追加しました。
- • [ネットワークメニュー]>[カメラと接続]に[著作権情報の上書き]を追加しました。
- • マスターカメラから同一ネットワーク上に存在しているリモートカメラを検出して接続できるようになりました。
- • [ネットワークメニュー]>[USB]に[USB ストリーミング(UVC / UAC)]を追加しました。
- ■ その他
- • 静止画撮影時の被写体捕捉などのオートフォーカスの動作や安定性を改善しました。
- • NX Tether などアプリケーションからの操作で、静止画でもプリセットマニュアルによるホワイトバランスの取得が出来るようになりました。
- • 音声メモを録音するときに外部マイクを接続していると、その外部マイクを使用して録音できるようになりました。
- • 外部モニターなどの HDMI 機器と接続したとき、動画の撮影終了時に映像出力が途切れない仕様に変更しました。
- • 動画の撮影中に i メニューからヘッドホンの音量を変更できるようになりました。
- • [再生メニュー]>[画像の自動回転]を[ON]に設定しても、動画は自動回転しないように仕様を変更しました。
- • [画像編集]にある[RAW現像]にピクチャーコントロールの機能として、[フラットモノクローム]、[ディープトーンモノクローム]を追加しました、またフレキシブルカラー機能にも対応しました。
- • マルチセレクターまたはサブセレクターでフォーカスポイントを移動中に、移動する方向を変えても移動速度が遅くならないように仕様を変更しました。
- • [カスタムメニュー]> g14[ビューアシスト]を[ON]にした際の階調特性を変更しました。
- • 動画撮影時に画像モニターに[ヒストグラム]または[ウェーブフォームモニター]を表示した状態で[カスタムメニュー]> g2[カスタムボタンの機能]に[撮影メニュー切り換え]を割り当てたカスタムボタンを押すと、画像モニターに表示される誤記を修正しました。
この Ver.5.30 アップデートにより、Z 9はさらに強力な撮影ツールへと進化しました。特にAF性能の強化とモノクローム表現の進化は、ユーザーの創造性を大きく後押しするでしょう




